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春が終わった。
思えば、比較的近しい映画・脚本関係者の活躍や近況を見聞きすることがやけに多い春だった。晴れて表舞台へ出ていく人がいるかと思えば、地道に自分のフィールドで作品をつくり続ける人もいる。どちらも僕に「つくり続ける理由」を与えてくれる存在という意味では同じだ。 翻って、自分はいまどこにいるのかと考える。充分ではないけれど、それなりに努力を重ねたここ一年ではあったと思う。成果も少しずつだが現れているように思える。だが花が開くのは、きっと容易いことではないだろうと想像もする。いま、一瞬でも気を抜いて努力をやめれば、蕾はすぐにしぼんでしまうのだろう。 蕾がついたのをいったん確認してしまうと、花が開くまでの時間がやけに長く思える。 僕は子供の頃からずっと「やることなすこと、ワンテンポ遅い」と言われ続けて育ち、それを改善不可能なまでに内面化して大人になった人間だ。友人たちが5年で成功するなら、僕は10年。九分咲きの桜の中で、いつまでも蕾のままでいる奴が、僕だ。ようやく咲いた頃、周囲の花はもう散り始めている。自分とはその程度のものだ。そう肝に銘じて生きてきたつもりだけど、自分のノロさに耐えられなくなったこともある。 それでも、最近は待つことが以前ほど苦痛ではなくなった。多少は経験を重ねて、悪い結果が出た時のことも含めてあるていど想像できるようになったからかもしれない。決して打たれ強くなったわけではない。ただ、心の準備をするのがほんの少し上手くなっただけなのだと思う。 どうしても花が見たいなら、自分から咲いている場所へ出向くしかない。あるいは動かずに待ち続けた結果、不本意な未来が待っていたとしても、仕方ないと割り切っていったん家に帰る。あるいは、もう一度来年まで待つ。 そんな作法をなんとなく身に着けてきたにすぎない。 花は散るものだが、季節がめぐればまた咲くものなのだ。だから大事なのは、どんな状況でも種を絶やさないことなのだ。 友人たちが咲いたあの場所で、いつか自分も咲き誇れる日が来るように。
by makeneko_bien
| 2015-04-29 17:41
| 雑記
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